多くの病院・診療科では、今もExcelで当直表を作っています。特別なツールを買わなくていい、 使い慣れているという理由で選ばれやすい一方、医師の人数やルールが増えるほど作業が重くなっていく のも事実です。この記事では、Excelで当直表を作る具体的な手順を7ステップに分けて解説したうえで、 運用で実際に起きがちな限界と、その対策までを一通りまとめます。
Step 1. 対象者を洗い出す
当直に入る医師のリストをシートに作る
まず全員のリストを別シートに作ります。研修医や非常勤医師をどう扱うか(対象外にするか、 通常より少ない回数で組み込むか)を最初に決めておくと、後の作業がスムーズです。
誰がどの当直種別に対応できるか整理する
「当直」「日直」「オンコール」など種別が複数ある場合、全員が全種別に対応できるとは限りません。 医師ごとの対応表を作っておくと、後でセルを埋める際の土台になります。
Step 2. カレンダー形式のシートを作る
1ヶ月分の日付を列(または行)に並べ、医師名を行(または列)に並べた表を作成します。 土日祝は色分けしておくと見やすくなります。祝日を平日扱いにするか休日扱いにするかも、 この段階で決めておきましょう。
Step 3. ルール・制約を決める
代表的な制約には次のようなものがあります。
| 中N日ルール | 当直の翌日にまた当直、のような連続を避けるため、最低N日は間隔を空けるルール。当直の負担が重い科ほどNを大きく(2〜3日)、軽い科では1日程度に設定されることが多いです。 |
| NGペア | 特定の2人を同じ日の当直に組ませない指定。人間関係への配慮や、経験年数の組み合わせを避けたい場合に使います。 |
| 必須ペア | 特定の2人を必ず一緒に組ませる指定。指導医と若手を必ずセットにしたい場合などに使います。 |
| 当直不可曜日 | 外勤日や育児等の個人事情により、特定の曜日に当直させられない医師がいる場合の制約です。 |
| 月間上限回数 | 医師ごとに当直・オンコールの月間上限を設定し、立場(部長・中堅・専攻医など)に応じて傾斜をつけます。 |
ルールは多いほど公平で理想的に見えますが、増やしすぎると「すべてを同時に満たす組み合わせ」が 存在しなくなり、手作業では組めなくなることがあります。まずは絶対に譲れないルールだけに絞りましょう。
当直シフトナビなら、これらのルールを一度登録しておくだけで、毎月その条件に沿った当直表を 自動生成できます。
Step 4. 希望休を集める
メール・LINE・紙などで集めた希望休を、該当セルに転記する前に、次の3点を決めておきます。
- 提出期限(当月の何日前までに提出してもらうか)
- 上限日数(月に何日まで希望を出せるか、土日祝は別枠で制限するか)
- 「絶対に休みたい」と「できれば避けたい」を分けて集めるかどうか
全員分を一律「絶対休み」として扱うと、人員が足りない月に対応できなくなります。 分けて集めておくと、後で人繰りに困ったときに「できれば」の希望を調整する余地が残せます。
当直シフトナビなら、医師がスマホから直接入力した希望休がそのまま当直表に反映されるため、 転記作業自体が不要になります。
Step 5. セルに医師を割り当てる
いきなり日付を埋めるのではなく、次の順序で進めると手戻りが少なくなります。
必須ペア・当直不可曜日など、絶対条件から埋める
最も制約が厳しい条件から先に確定させることで、後の調整余地を残せます。
希望休(絶対)を反映する
この時点で、各日の必要人数に対して候補者が足りているかを確認します。
残りの枠を公平性を見ながら埋める
「今月の回数」だけでなく、可能であれば直近数ヶ月の累積回数も別シートで集計しながら埋めていきます。 土日祝の当直回数が特定の人に偏っていないかも確認しましょう。
当直シフトナビなら、Step 3〜4で登録した条件に沿って、この割当作業自体を自動で行います。
Step 6. ルール違反がないか目視で確認する
埋め終えたら、表全体を見返して次を確認します。チェックリスト化しておくと確認漏れを防げます。
- 中N日ルールに違反している箇所はないか
- NGペアが同日に組まれていないか、必須ペアが漏れていないか
- 希望休(絶対)がすべて反映されているか
- 月間上限回数を超えている医師がいないか
当直シフトナビなら、作成後の状態はもちろん、手動で編集した際もルール違反がないか自動でチェックし、 該当箇所を警告表示します。
Step 7. 確定・共有し、変更ルールを決めておく
表を配布したら終わりではありません。急な体調不良などで直前に交代が必要になるケースは 必ず発生します。「誰の承認があれば交代してよいか」を事前に決めておくと、いざというときに 揉めずに済みます。
よくある失敗
① 公平性を感覚だけで判断してしまう
「なんとなく偏っていない気がする」で組んでしまうと、後から「自分の方が明らかに多い」という 不満が出やすくなります。回数を実際に数えて可視化することが、納得感につながります。
② 希望休の集め方が曖昧なまま毎月同じように苦労する
期限・上限日数を決めずに毎回その場で集めていると、直前になって希望が集中し、 調整がつかなくなることがあります。
③ 確定後の変更ルールを決めていない
誰の承認が必要か決めないまま運用していると、当事者同士だけで交代して管理者が把握していない、 という事態が起きがちです。
Excelという手段そのものの限界
上記の進め方の問題を避けても、医師の人数が増えるほどExcelというツール自体の限界に 突き当たることがあります。
① ルールの目視チェックがミスの温床になる
医師が10人を超えたあたりから、中N日・NGペアなどの目視確認が現実的でなくなります。 見落としに気づくのは、たいてい当直表が確定して配布された後です。
② 公平性の集計が別作業になる
累積回数を把握するには別シートで集計表を作る必要があり、当直表本体の修正と集計表の更新が ずれて数字が合わなくなることがあります。
③ 1箇所の変更が全体に波及する
急な交代で1人分を動かすと、そこから連鎖してルール違反が発生していないか、表全体を 見直す必要が出てきます。この再チェックが後回しになりがちです。
④ 複数人での同時編集に向いていない
ファイルを共有フォルダやメールで回す運用では、「今どれが最新版か分からない」 「同時に編集して上書きしてしまった」という事故が起きやすくなります。
⑤ 時間外労働の算出が別作業になる
当直・オンコールによる時間外労働を把握するには、拘束時間・休憩時間をもとにした計算式を 別途組む必要があり、医師ごと・種別ごとに条件が異なる場合はExcelの数式だけで維持し続けるのが 負担の大きい作業になります。
これらの限界は、Excelの使い方が悪いからではなく、「複数の制約を同時に満たす組み合わせを探す」 という当直表作成自体が、本来手作業に向いていない性質の作業であることが原因です。
対策:ルールを登録して自動化する
中N日ルール・NGペア・希望休といった条件を最初に登録しておき、条件を満たす組み合わせを 自動的に探索する、という方法であれば、上記の限界の多くを解消できます。
当直シフトナビでは、医師登録とルール設定(15〜30分程度)を済ませると、ルールを守った 当直表の候補が自動生成されます。生成後に画面上で手動調整することも可能で、 「まず自動生成→気になる部分だけ手直し」という運用ができます。累積の当直回数・時間外労働時間も 自動集計されるため、別シートでの集計作業も不要になります。14日間無料トライアルで、 クレジットカード登録不要です。
具体的な始め方はクイックスタートガイド(最短15分)で解説しています。