「当直は労働時間に入るのか、入らないのか」は、多くの医療機関で曖昧なまま運用されているテーマです。
結論から言うと、当直は原則として労働時間としてカウントされますが、一定の条件を満たし労働基準監督署の許可を得た場合に限り、例外的な扱いが認められています。
原則
例外
1原則:当直も労働時間としてカウントされる
「当直」という呼び方をしていても、実際に診療対応が頻繁にある、休憩や仮眠がほとんど取れない、といった実態であれば、労働基準法上は通常の労働時間として扱われます。
時間外労働の上限規制のカウント対象にもなります。
2例外:宿日直許可を得た場合
労働基準法41条3号は、「断続的労働」に従事する者について労働時間・休憩・休日の規定を適用除外とすることを認めています。
厚生労働省はこの規定を根拠に(許可の手続きは労働基準法施行規則第23条)、宿直・日直勤務について労働密度が低い場合に限り、労働基準監督署の許可(宿日直許可)を得ることで、労働時間規制の適用除外とすることを認めています。
許可を得た宿日直勤務は、労働基準法上の労働時間規制の対象外となるため、時間外労働の上限規制のカウントにも含まれません。
ただし、許可を受けた宿日直中に、通常の勤務と同じような業務(急患の診療など)をした時間は労働時間として扱い、時間外労働の手続き(36協定など)をとったうえで、宿日直手当とは別に、本来の賃金(必要な割増賃金を含む)を支払います。この時間は、時間外労働の上限規制のカウントにも入ります。
3許可を得られる条件
宿日直許可は無条件に得られるものではなく、次のような実態であることが前提です。
- 常態としてほとんど労働をする必要のない勤務であること
- 定時的な巡視、緊急の文書・電話の収受、非常事態への待機等が目的であること
- 通常の労働の継続とみなされるような実態(頻繁な処置対応等)でないこと
- 宿日直手当が、宿日直に就くことが予定されている同種の労働者の1人1日平均額の3分の1以上であること
- 宿日直中の業務は、特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務に限ること
- 宿直の場合は、相当の睡眠設備を設けること
- 医師等の場合、通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後であり、宿直では夜間に十分な睡眠がとれること
頻度についても、宿直は週1回、日直は月1回を限度とすることが原則とされています(宿直・日直をさせられる人が全員入ってもなお人数が足りず、かつ勤務の労働密度が薄い場合は、これを超えて許可されることもあります)。許可は、時間帯や業務の種類などを限って受けることもできます。
宿直の頻度の限度(原則)
週1回
日直の頻度の限度(原則)
月1回
「宿日直許可を取得している」ことと「実態が許可基準を満たしているか」は別問題です。取得当初は労働密度が低かったが、その後の診療体制の変化で実態が伴わなくなっている、というケースも起こり得ます。
許可を得ているからといって安心せず、実態が基準に沿っているかを定期的に見直すことが重要です。
4実務上、何をすればよいか
まずは自院の当直・オンコールの実態(対応頻度・休憩の取得状況)を洗い出し、宿日直許可の対象にできる勤務とできない勤務を切り分けることが出発点になります。
許可の対象にできない(労働時間としてカウントする必要がある)当直については、拘束時間・休憩時間を明確にした上で、時間外労働として正確に計算・管理する必要があります。
メディクミでできること
メディクミでは、当直・オンコールの種別ごとに拘束時間と休憩時間を登録すると、当直による時間外の目安を自動で計算できます(設定でONにした場合。時間外に数えない種別は対象外にできます)。計算は勤務表の予定にもとづく目安で、宿日直許可のある宿直中に実際に診療などをした時間は自動では入らないため、別に記録してください。時間外労働の上限規制の全体像はこちらの記事で、当直表への具体的な反映方法はこちらの記事で解説しています。
研修医の当直表を組むときの決まり(1年次の当直の体制、C-1水準の研修医の休息時間)は、研修医の当直表の組み方で解説しています。