この記事は制度の一般的な考え方を紹介するものであり、法令の全文ではありません。 自院の当直が実際にどう扱われるべきかは、必ず顧問社会保険労務士や所轄の労働基準監督署に ご確認ください。
「当直は労働時間に入るのか、入らないのか」は、多くの医療機関で曖昧なまま運用されて いるテーマです。結論から言うと、当直は原則として労働時間としてカウントされますが、 一定の条件を満たし労働基準監督署の許可を得た場合に限り、例外的な扱いが認められています。
原則:当直も労働時間としてカウントされる
「当直」という呼び方をしていても、実際に診療対応が頻繁にある、休憩や仮眠がほとんど 取れない、といった実態であれば、労働基準法上は通常の労働時間として扱われます。 時間外労働の上限規制のカウント対象にもなります。
例外:宿日直許可を得た場合
労働基準法41条3号は、「断続的労働」に従事する者について労働時間・休憩・休日の規定を 適用除外とすることを認めています。厚生労働省はこの規定を根拠に、宿直・日直勤務について 労働密度が低い場合に限り、労働基準監督署の許可(宿日直許可)を得ることで、 労働時間規制の適用除外とすることを認めています。
許可を得た宿日直勤務は、労働基準法上の労働時間規制の対象外となるため、 時間外労働の上限規制のカウントにも含まれません。
許可を得られる条件
宿日直許可は無条件に得られるものではなく、次のような実態であることが前提です。
- 常態としてほとんど労働をする必要のない勤務であること
- 定時的な巡視、緊急の文書・電話の収受、非常事態への待機等が目的であること
- 通常の労働の継続とみなされるような実態(頻繁な処置対応等)でないこと
頻度についても、宿直は週1回、日直は月1回を限度とすることが原則とされています (労働密度が薄い場合はこれを超えて許可されることもあります)。
「宿日直許可を取得している」ことと「実態が許可基準を満たしているか」は別問題です。 取得当初は労働密度が低かったが、その後の診療体制の変化で実態が伴わなくなっている、 というケースも起こり得ます。許可を得ているからといって安心せず、実態が基準に沿って いるかを定期的に見直すことが重要です。
実務上、何をすればよいか
まずは自院の当直・オンコールの実態(対応頻度・休憩の取得状況)を洗い出し、 宿日直許可の対象にできる勤務とできない勤務を切り分けることが出発点になります。 許可の対象にできない(労働時間としてカウントする必要がある)当直については、 拘束時間・休憩時間を明確にした上で、時間外労働として正確に計算・管理する必要があります。
当直シフトナビでは、当直・オンコールの種別ごとに拘束時間と休憩時間を設定でき、 時間外労働時間が自動算出されます。宿日直許可の対象で労働時間規制の対象外とする種別と、 通常どおり時間外労働としてカウントする種別を分けて登録することもできるため、 実態に応じた運用に対応できます。