病院では「当直」「宿直」「日直」「夜勤」「オンコール」といった言葉が使われますが、同じ夜間の勤務でも、労働時間としての扱いは異なります。
勤務表を組む前に整理しておきたい言葉の違いと、勤務時間の考え方を解説します。
この記事のポイント
- 宿直は当直のうち夜間に行うもの、日直は日中に行うもの。夜勤は夜間に通常勤務と同様の業務を行うもので、宿直とは異なる
- 当直の待機時間も、一般的には労働基準法上の労働時間となる
- 宿日直許可を受けた宿直・日直は、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されない
- オンコールの待機時間が労働時間に当たるかは、個別具体的に判断される
1当直とは:所定時間外に、通常業務と異なる業務を行う勤務
東京労働局の資料では、宿日直について次のように説明されています。
宿日直とは?一般的には「当直」と呼ばれることも。所定時間外に通常業務と異なる業務を行う就労形態。
宿直とは?一般的に、当直のうち夜間に行うもの。
日直とは?一般的に、当直のうち日中に行うもの。
夜勤とは?夜間に通常勤務と同様の業務を行うもの。宿直とは異なる。
2宿直・日直・夜勤・オンコールの違い
宿直
日直
夜勤
オンコール
3病院には医師の宿直が必要(医療法第16条)
医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。
ただし、病院の医師が病院に隣接した場所に待機する場合など、入院患者の病状が急変した場合でも医師が速やかに診療を行う体制が確保されているとして、あらかじめ都道府県知事に認められた場合は、この限りでないとされています(医療法第16条ただし書・医療法施行規則第9条の15の2)。
医療法の宿直と、労働基準法の宿日直許可は別の制度
厚生労働省のFAQでは「この医療法第 16 条に基づく宿直を医師に行わせること自体に労働基準監督署長による宿日直許可は必要ありません。」とされています。医療法の宿直と、次に説明する労働基準法の宿日直許可は、別の制度です。4当直の時間は労働時間か:原則は労働時間
厚生労働省の検討会資料では、医師の宿直について次のように説明されています。
宿直は、一般的に外来診療を行っていない時間帯に、医師等が入院患者の病状の急変に対処するため医療機関内に拘束され待機している状態をいい、このような待機時間も一般的には労働基準法上の労働時間となる。
そのうえで、断続的な業務として労働基準監督署長の許可(宿日直許可)を受けた宿直・日直については、労働基準法の労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されない、とされています(労働基準法第41条第3号・同法施行規則第23条)。なお、深夜業に関する規定は適用除外にならないと説明している労働局の資料もあります。
宿日直許可を受けた宿直・日直
宿日直許可を受けていない当直
5宿日直許可を受けられる勤務
宿日直許可は、どんな当直でも受けられるわけではありません。一般的な許可基準(昭和22年9月13日発基17号)では、常態としてほとんど労働をする必要のない勤務であり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するとされています。
医師・看護師等については、さらに次の条件が示されています(令和元年7月1日基発0701第8号)。
- 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること
- 宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限ること
- 宿直の場合は、夜間に十分な睡眠がとり得るものであること
- 一般の宿日直の許可の際の条件(手当・回数・睡眠設備など)を満たしていること
許可は、診療科・職種・時間帯・業務の種類などを限って受けることもできます。厚生労働省のFAQでは、患者の来院が多い準夜帯を除いた時間帯に限って申請することも「可能です。」とされています。
手当と回数の基準については宿直手当の最低額の記事と宿直の回数の記事で解説しています。
6医師の時間外労働の上限規制との関係
厚生労働省のFAQは、次の2点を説明しています。
- 宿日直許可を受けた場合には、医師の時間外労働の上限規制との関係で労働時間とカウントされないこと
- 宿日直許可を受けた宿日直(9時間以上連続したもの)については、勤務と勤務の間の休息時間(勤務間インターバル)との関係で休息時間として取り扱えること
一方で、同じFAQは次のようにも述べています。
宿日直許可により在院時間の一部が上限規制との関係で労働時間から除外されることをもって、労働時間の短縮や勤務環境の改善がなされたものと捉えるべきではありません。
上限規制の全体像は医師の時間外労働上限規制の記事で解説しています。
7オンコールの待機時間は「個別に判断」
院外で待機するオンコールの時間が労働時間に当たるかどうかについて、厚生労働省の「医師の働き方改革に関するFAQ」は、次のような点を踏まえて判断するとしています。
呼び出しの頻度
到着までの時間
待機中の活動の制限
オンコール待機中に求められる義務態様は、医療機関ごと、診療科ごとに様々であり、・呼び出しの頻度がどの程度か、・呼び出された場合にどの程度迅速に病院に到着することが義務付けられているか、・呼び出しに備えてオンコール待機中の活動がどの程度制限されているか等を踏まえ、オンコール待機時間全体について、労働から離れることが保障されているかどうかによって、労働時間に該当するか否かが個別具体的に判断されることになります。
呼び出されて実際に診療などを行った時間は、労働時間として扱います。オンコールについてはオンコール待機と労働時間の記事で詳しく解説しています。
まとめ:勤務表では、勤務の種類ごとに扱いを分けて登録する
以上のように、同じ「夜の勤務」でも、宿日直許可を受けた宿直、許可のない当直、夜勤、オンコールでは、労働時間としての扱いが変わります。
| 勤務の種類 | 労働時間としての扱い |
|---|---|
| 宿日直許可を受けた宿直・日直 | 労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されない(通常と同態様の業務をした時間は労働時間)勤務表・記録:許可の範囲=診療科・時間帯などもあわせて確認しておく |
| 宿日直許可のない当直 | 一般的には労働時間勤務表・記録:労働時間として数える |
| 夜勤 | 通常の勤務 |
| オンコール | 待機時間は個別に判断。呼び出されて働いた時間は労働時間勤務表・記録:待機と、呼び出されて働いた時間を分けて記録する |
勤務表では、このように勤務の種類を分けておくと、後から時間を集計しやすくなります。
メディクミでできること
メディクミでは、当直・日直・オンコールなどを別々の勤務の種類として登録できます。種類ごとに拘束時間と休憩時間を登録すると、当直による時間外の目安を自動で計算できます(設定でONにした場合。時間外に数えない種類は対象外にできます)。計算は勤務表の予定にもとづく目安で、宿日直許可のある宿直中に実際に診療などをした時間は自動では入らないため、別に記録してください。