病棟の勤務表では「公休は月に何日」「明けは公休じゃない」「有給は公休に入る?」といった話がよく出てきます。ところが「公休」という言葉そのものは、労働基準法の条文には出てきません。
この記事では、公休と呼ばれている休みを、法律の言葉(法定休日・所定休日・年次有給休暇)と、振替休日・代休という運用の言葉に分けて整理し、勤務表で公休を数えるときに迷いやすい点をまとめます。
この記事のポイント
- 「公休」は労働基準法の条文にある言葉ではなく、職場ごとの呼び方です。何を指すかは自院の就業規則で確かめます。
- 労働基準法の休日(法定休日)は、毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上です(第35条)。それより多い休日は、就業規則などで定める所定休日です。
- 年次有給休暇は、労働日に取る休暇で、休日とは別物です。勤務表では公休とは別に数えておくと、休日の日数が足りているかを確かめやすくなります。
- 振替休日(事前に休日と労働日を入れ替える)と代休(休日に働いた後に休みを与える)では、法定休日に働いた場合の割増賃金の扱いが違います。
- 休日は原則として暦日(午前0時から午後12時まで)で与えるものとされており、原則として夜勤明けの日は公休に数えません。
1「公休」は法律の用語ではなく、職場ごとの呼び方
労働基準法と労働基準法施行規則の条文には、「公休」という言葉は出てきません。法律が定めているのは「休日」と「休暇」です。
職場で「公休」と呼ぶときは、就業規則で定めた休日(下で説明する法定休日と所定休日)を指していることが多いようですが、範囲は職場によって違うことがあります。「4週8休」「月の公休9日」のような日数も、法律の数字ではなく、各医療機関の就業規則などで決めているものです。
なお、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、休日・休暇などを就業規則に定めて届け出なければなりません(労働基準法第89条)。「うちの公休は何を指すのか」は、まず就業規則の休日の条文で確かめるのが出発点です(公立病院では条例・規則で定めていることがあります)。
休みに関係する言葉の全体像
法定休日
所定休日
年次有給休暇
振替休日
代休
振替休日と代休は、どちらも労働基準法の条文にある言葉ではありませんが、通達などで一般的な考え方が示されていると、労働局のQ&Aで説明されています。
2法定休日と所定休日:週1回(または4週4日)とそれ以外
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
この第35条で与えることが求められている休日が、いわゆる法定休日です。週休2日制のように休日が週に2日ある場合は、どちらか1日を法定休日とし、もう一方は所定休日になる、と労働局のQ&Aで説明されています。
| 法定休日 | 所定休日 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 労働基準法第35条 | 就業規則など(職場の決まり) |
| 日数 | 毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上 | 職場ごとに決める(法定休日に上乗せする分) |
| その日に働いた場合の割増賃金 | 休日労働として3割5分以上 | 法定休日の労働には当たらない。法定労働時間を超えた分は時間外労働として2割5分以上 |
法定労働時間は原則1日8時間・1週40時間(第32条)。1か月単位の変形労働時間制をとっている場合や、常時10人未満の診療所などで週44時間の特例(労働基準法施行規則第25条の2)が当てはまる場合は、時間外労働になる時間の数え方が変わります。割増賃金について詳しくは第5章。
また、労働基準法は、何曜日を休日にするか、国民の祝日を休日にするかを定めておらず、労働者ごとに異なる日に交替で休日を与えることもできる、と労働局のモデル就業規則の解説にあります。
4週4日の方法をとるときは「起算日」を決める
第35条第2項の4週4日の方法で休日を与える場合は、就業規則その他これに準ずるものにおいて、4日以上の休日を与える4週間の起算日を明らかにするものとされています(労働基準法施行規則第12条の2第2項)。
3年次有給休暇は「休日」ではなく、労働日に取る休暇
年次有給休暇(第39条)は、雇入れの日から6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日を与えなければならない、と定められています。日数が「労働日」で数えられているとおり、有給休暇は本来働く日に、その日の労働を休むものです。
そのため、もともと労働義務のない休日に有給休暇を取る、ということは考えにくく、労働局のQ&Aでも、代休や振替休日に設定された日は労働日ではないので、労働日にだけ取得できる年次有給休暇は取得できない、と説明されています。
公休(休日)
有給(年次有給休暇)
4振替休日と代休の違い
休日に出勤してもらうとき、「あとで休みを取ってもらう」という点では振替休日も代休も同じに見えますが、労働基準法上の扱いは違います。
振替休日
あらかじめ休日と労働日を入れ替えること(モデル就業規則の解説では、振替は前日までに通知することを必要な措置の1つに挙げています)。
もとの休日は通常の労働日になるため、その日に働いても休日労働の割増賃金の問題は生じない。
ただし、振り替えた結果、その週の労働時間が週の法定労働時間を超えた場合は、時間外労働の割増賃金が必要。
代休
休日に働かせた後で、代わりに労働日の労働義務を免除して休みを与えること。
後で代休を与えても、休日に働いた事実は帳消しにならない。法定休日に働いた場合は休日労働の割増賃金(3割5分以上)、所定休日に働いて法定労働時間を超えた場合は時間外労働の割増賃金が必要。
労働局のモデル就業規則の解説は、休日を振り替える場合に必要な措置として、次の4つを挙げています。
- 就業規則に振替休日の規程を置くこと
- 振替休日は特定すること
- 振替休日は4週4日の休日が確保される範囲のできるだけ近接した日とすること
- 振替は前日までに通知すること
週をまたぐ振替に注意
振替休日を翌週に設定すると、もとの週の労働時間が週の法定労働時間(原則40時間)を超えることがあります。この場合、超えた時間には時間外労働の割増賃金が必要になる、と労働局の資料で説明されています。勤務表の上で休みを動かすときは、同じ週の中で入れ替えられるかを先に見ておくと、割増賃金の扱いを確かめやすくなります。5休日に働いたときの割増賃金
まず前提として、法定休日に働いてもらう(休日労働をさせる)には、就業規則などに休日労働をさせることがある旨を定め、36協定を結んで労働基準監督署に届け出ておく必要があります(労働基準法第36条。山梨労働局のQ&Aも参照)。法定休日以外の休日の出勤でも、1日8時間・週40時間を超える分は時間外労働になるため、36協定の締結・届出が必要です(災害などで臨時の必要がある場合(労働基準法第33条)を除く)。
休日労働の割増賃金の率は、労働基準法第37条第1項にもとづく政令で定められています。政令は、休日の労働については3割5分としています。ここでいう休日労働は、法定休日の労働のことです。
| 働いた日・時間 | 割増率 |
|---|---|
| 法定休日の労働(休日労働) | 3割5分以上 |
| 法定休日の労働が深夜(午後10時から午前5時まで)に及んだ部分 | 6割以上 |
| 所定休日の労働で、法定労働時間を超えた部分 | 時間外労働として2割5分以上 |
長崎労働局「労働法の基礎講座」、山梨労働局のQ&A、上記の政令による。変形労働時間制をとっている場合は時間外労働の数え方が異なります。1か月60時間を超える時間外労働の率など、例外や細かな要件は省略しています。
このため、休日に出勤した日が法定休日か所定休日か、振替休日の手続きをとったのか後から代休を与えたのかを、勤務表や記録で後から追えるようにしておくことが、給与計算の担当者との行き違いを防ぐことにつながります。
6夜勤明けは公休に数えられる?
労働局のモデル就業規則の解説では、休日は原則として暦日(午前0時から午後12時までの継続24時間)で与えなければならないとされています。2交代の夜勤明けの日は、午前0時から朝まで働いているため、明けの日の午後が空いていても、原則として休日(公休)にはなりません。3交代では、準夜・深夜の始まりと終わりの時刻によって、どの日が暦日の休みになるかが変わるので、自院の勤務の時刻で確かめてください。
ただし、番方編成による交替制(8時間3交替勤務のような場合)では、次の2つの要件を満たせば、休日を暦日ではなく継続した24時間で与えても差し支えないとされています(昭和63年3月14日基発150号)。
- 番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されていること
- 各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではないこと
2つ目の要件があるため、毎月その都度組む病棟の勤務表がこの例外に当たるかどうかは、慎重に確かめる必要があります。暦日の考え方と例外の要件、2交代の夜勤明けの例は、夜勤明けは休み(公休)扱いにできる?の記事で詳しく解説しています。
7勤務表で公休を数えるときの整理
ここまでの内容を、勤務表の記号と数え方に置き換えると、たとえば次のように整理できます。記号や呼び方は病棟によって違うので、自院の就業規則の言葉に合わせて読み替えてください。
| 勤務表の記号(例) | 中身 | 公休の日数に |
|---|---|---|
| 公休(休) | 就業規則で定めた休日(法定休日・所定休日) | 数える |
| 明け | 夜勤が朝に終わった日。午前0時から働いている | 数えない(例外の要件に当たる場合を除く) |
| 有給 | 労働日に取る年次有給休暇 | 分けて数えると整理しやすい |
| 振休 | 事前に労働日と入れ替えた休日 | 入れ替えた後の休日として数える |
| 代休 | 休日に働いた後に与えた休み | 就業規則での扱いを確かめて数える |
記号と数え方は一例です。代休を公休の日数に含めるかどうかなどは、就業規則の定め方によって変わります。
具体的には、次のような点を確認しておくと、公休の数え方で迷いにくくなります。
- 自院の就業規則で、公休(休日)が何を指し、4週・1か月などで何日と決まっているかを確認している
- 4週4日の方法をとる場合、4週間の起算日を就業規則で確認し、勤務表の期間とずれていないか見ている
- 勤務表の記号で「明け」と「公休」を分け、公休の日数を数えるときに明けを含めていない
- 有給を公休とは分けて記号・集計している
- 休日に出勤してもらったとき、振替休日(事前の入れ替え)か代休(事後の休み)かを記録している
- 振替休日を設定するとき、同じ週の中で入れ替えられるかを確認している
メディクミでできること
メディクミの看護の勤務表では、設定で「夜勤明けは強制的に休みにする」(夜勤の翌日に夜勤以外の勤務を入れない設定です。連続夜勤は「連続夜勤の上限」の範囲で入ることがあります。明けは公休の日数には数えません)をONにすると、夜勤の翌日を「明け」として公休とは別に数えます。職員ごとに必要な公休の日数を設定すると、明けを除いた休みの日数(明けの翌日も休みにする設定のときは、その日も除きます)で不足していないかを確認でき、自動作成もその日数を満たすことを目標に組みます。なお、この休みの日数には承認済みの有給の日も含まれます(カレンダーには「有」と表示)。有給を除いた公休の日数は、別に確かめてください。表示される集計や警告は、登録した予定と設定にもとづく目安です。休憩・休日・割増賃金・年次有給休暇など、看護師の勤務表に関係する労働基準法の決まりは看護師と労働基準法の記事で、夜勤明けを公休として数えられるかは夜勤明けは休み(公休)扱いにできる?の記事で解説しています。